ギシギシ茶は便秘や皮膚トラブルに役立つお茶です。
ギシギシとは中国〜朝鮮半島〜日本列島原産、タデ科スイバ属(ギシギシ属)の多年草。
草丈は1メートル程になり、日本全国いたる所のよく日が当たり湿り気のある野原などに生育しています。
開花期は5~7月頃の初夏。
茎の先に穂の様に連なる小さな緑の花をつけます。
根を乾燥させて使うギシギシ茶は苦みのある味わい。
この根は生薬でもあり、生薬名は「羊蹄根(ようていこん)」です。
この記事では、
- ギシギシ茶の効果・効能
- ギシギシ茶の正しい作り方やおススメ入手法
について詳しくご紹介します。
ギシギシ茶の効果・効能
ギシギシ茶の主な有効成分と、その効果について表にまとめました。
成分名 | 効果・効能 |
---|---|
アントラキノン | 瀉下作用 |
クリソファノール | 瀉下作用、抗菌作用、抗炎症作用、胆汁分泌促進作用 |
ネポジン | 糖の代謝促進、血中脂質の抑制、メタボ予防 |
タンニン | 収れん作用、整腸作用成分名 |
ギシギシ茶の効果・効能について、成分別に詳しく見ていきましょう。
アントラキノン
これは黄色をした結晶で、染料の合成原料としても用いられる成分です。
天然にはアカネ科、タデ科、マメ科の植物に含まれています。
大腸を刺激して、便通を促す作用があります。
クリソファノール
これは先のアントラキノンの誘導体です。
アントラキノンと同様にお通じを良くする働きのほか、
- 抗菌作用で様々な病原菌から体を守る
- 湿疹、かぶれ、ニキビなど皮膚の炎症を鎮める
- 胆汁と膵臓消化液の分泌をよくする
などの効果が期待できます。
皮膚トラブルに関してはお茶での飲用のほか、根の絞り汁を患部に直接塗布する方法も取られています。
ネポジン
これはムシジンやジアネリジンとも呼ばれる成分です。
糖尿病などの生活習慣病を改善する働きに着目され、研究が進められています。
- 糖の代謝を促進して糖尿病を予防する
- コレステロールや中性脂肪といった血中脂質を抑制する
- メタボリックシンドロームを予防する
といった効果が期待できます。
ネポジンのこのような働きに加えてアントラキノンに便通を促す作用があることから、相乗効果でダイエットにも効果的です。
タンニン
これはお茶の渋みを出す成分で、収れん作用を持つことが特徴です。
- 粘膜を引き締める収れん作用により、下痢を抑える
- 他の成分に基づく瀉下作用を中和させ、腸の調子を整える
などの効果が期待できます。
ギシギシ茶の副作用について
ギシギシに含まれるアントラキノンは長期にわたって服用を続けると、大腸の粘膜を黒っぽく変色させてしまいます。
これを「大腸黒皮症(大腸メラノーシス)」と言います。
この症状は大腸の変色だけにとどまらず、大腸の活動を鈍化させてしまうことが指摘されています。
するとさらに便秘がちになり、アントラキノン系下剤を服用しても効きづらくなるという悪循環に。
ですのでギシギシ茶は長期的な常用は避けるようにして下さい。
便秘解消を期待する場合にも、あくまでも短期的な飲用を心がけましょう。
それからギシギシに含まれるシュウ酸はとりすぎると結石の原因になります。
特に若葉を食用にされる際はご注意を。
生食は控え、熱湯で茹でてから水に晒し、アク抜きをしてお召し上がり下さい。
そして妊娠中の方についてですが、妊娠時に便秘でお悩みの方は多いのではないでしょうか。
ですがギシギシは妊娠時には慎重に利用すべきとされています。
よって自己判断での飲用は避け、必ず医師のもとで処方された下剤等を服用するようにして下さい。
またお腹の冷えやすい人はギシギシ茶を控えた方が良いと言われています。
ギシギシ茶の味と香りについて
ギシギシ茶に使われるギシギシの根は、「羊蹄根(ようていこん)」という名の生薬でもあります。
この羊蹄根、性味はというと「味苦、性寒」。
つまりギシギシ茶は苦みが中心に感じられるお茶です。
ところでギシギシは根ではなく地上部の若葉を採取し、食用にしたりお茶にしたりするケースも見受けられます。
若葉で作るお茶はそれほどクセが無く、後味にほろ苦さの残る味わいです。
ギシギシ茶を美味しく飲む方法と作り方
ギシギシ茶を美味しく飲む方法をご紹介します。
基本の作り方
基本的にギシギシ茶で使用する部位は根になります。
ごぼうの様な太い根がありますので、まずはこれを掘り出します。
根はよく洗い、輪切りにしてから天日干し。
よく乾燥させたら密閉容器に入れて、冷蔵庫で保存できます。
薬用にする際はこの乾燥した根5g~10gを600mlの水に入れて煎じます。
これを一日3回にわけ服用、とされています。
健康茶として楽しむ範囲であれば、お湯で淹れることも可能。
小さじ山盛り1杯を目安にティーポットに入れて、カップ1杯分の沸騰したてのお湯で5分位蒸らしてから頂きましょう。
ブレンドティーレシピ
ギシギシ茶におすすめのブレンドをご紹介します。
+バードックルート(ごぼう茶) | バードックルートはイヌリンという食物繊維が豊富で、ギシギシ茶とはまた違った経路で便秘改善に働きかけます。 風味には香ばしさがプラスされて飲みやすくなります。 |
---|---|
+ダンデライオンルート(たんぽぽの根) | ダンデライオンルートは緩下作用(お通じを良くする)と利尿作用をあわせ持ち、ギシギシ茶との相乗効果が期待できます。 苦みが強くなるので、いっそのことたんぽぽ茶よりもコーヒー風味のたんぽぽコーヒーとブレンドして苦みを味わいましょう。 |
+ナツメ | ナツメは食物繊維だけでなく鉄分などのミネラルも豊富。 美容と健康にとても嬉しい健康素材です。 フルーティーで甘酸っぱい味わいなので、ハチミツを加えてさらに美味しく仕上げましょう。 |
ギシギシ茶に合うお菓子、食事
ギシギシ茶には苦みがありますので、できれば甘いものを一緒に食べて苦みを和らげたいですよね。
そこでお茶うけにおすすめなのが「寒天ゼリー」。
ゼリーの中でも寒天を使用したものを選ぶのがポイント。
食物繊維が多く含まれるため、ギシギシ茶の腸への働きをサポートします。
寒天ゼリーはダイエット効果などをうたった商品も出ていますし、粉寒天を使えばお家で作るのも簡単ですよ。
ギシギシ茶のオススメ入手法と買い方
ギシギシ茶は残念ながら、健康茶としての商品化がされていません。
そのためギシギシ茶を入手するには、野生のギシギシを採取して自家製で作って頂くことになりそうです。
ギシギシは日本全国に分布し、主に川岸や湿った土地、荒野に生えています。
初夏に薄緑の小さな花を連ねて咲かせるので目印になります。
根を掘り出すのは11月~翌4月頃までが適期。
掘り出してからの作り方は前述の「基本の作り方」で解説していますので参考にしてみて下さい。
ギシギシ茶のまとめ
[box01 title=”ギシギシ茶の要点”]
- 便秘解消に役立つ
- 湿疹、かぶれ、ニキビなどの皮膚トラブルに良い
- 生活習慣病やメタボを予防し、ダイエットにも効果的
- 長期的な常用は便秘を悪化させるので避ける
- シュウ酸が含まれるため若葉食用の際はアク抜きが必要
- 妊娠時は医師の指示のもと慎重に使用する
- 風味には主に苦みがある
- 商品化されていないため、根を刻み乾燥させて自家製する
[/box01]
今回は日本在来種のギシギシを使ったギシギシ茶についてご紹介しました。
一方ギシギシの仲間には和名「ナガバギシギシ」と呼ばれるものがあり、こちらはヨーロッパ原産、イエロードッグという名の薬用ハーブです。
イエロードッグも作用がよく似ている上、ハーブ専門店で扱うところもありますので比較的手に入りやすいですよ。
コメント