ハーブティーの歴史|古くから人々の健康を支えてきた飲み物。日本に伝わったのはいつ?

ハーブティー入門講座
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[chat face=”otya1.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”] 現在の日本でハーブティーと聞くと、体に優しいお茶(=嗜好品)のイメージを持たれる方がほとんどではないでしょうか。 [/chat]
[chat face=”chap1.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]しかし歴史をさかのぼっていくと、ハーブティーのご先祖様はずばり『煎じ薬』です。 [/chat]
[chat face=”otya2.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”]体に良いことは知っていましたが、まさにお薬だったのですね! [/chat]

それは今のように色や風味を楽しむ華麗なお茶というよりも、体を治すために飲むもっと切実なお薬でした。
その記録は紀元前のはるか昔までさかのぼって確認することができます。

今回はハーブティーを含めた、ハーブ全体の歴史をひも解いていきます。
この記事では、

  • ヨーロッパを中心としたハーブの歴史
  • 日本におけるハーブの歴史

について、詳しくお伝えいたします。

古代文明までさかのぼるハーブの歴史


[chat face=”chap1.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]ではまずヨーロッパを中心としたハーブの歴史を見ていきましょう。 [/chat]

ヨーロッパを中心としたハーブの歴史ダイジェスト

  • 紀元前:古代エジプトやメソポタミアでハーブが薬用に用いられていた
  • 紀元前400年:古代ギリシアのヒポクラテスが元祖ハーブティーを紹介
  • 1世紀:ローマ帝国でディオスコリデスが『薬物誌』にハーブ療法まとめる
    ローマ帝国下でハーブ療法が広まる
  • 中世:修道院を中心として、ハーブ療法の閉鎖的な発達が進む
  • 15世紀:異国のスパイスや紅茶などがヨーロッパに持ち込まれる
    ハーブが紅茶の代用ティーとして用いられる
  • 17世紀:イギリスのニコラス・カルペパーがハーブ療法を一般に広める
  • 19世紀:化学薬品の登場によりハーブ療法が衰退
  • 20世紀:ハーブが見直され、ハーブブーム到来

古代エジプトの文書に残っている

古代エジプトといえば、まさに人類の文明がスタートした時代。
その古代エジプト時代、既に約700種類ものハーブがパピルス紙の文書に書き記されており、薬用としての利用法が紹介されています。
これが紀元前1700年頃、世界最古のハーブの文献とされています。

そしてメソポタミアの方でもハーブを薬用に使っていたと言われています。
つまり人類の文明が芽生えた頃から、既にハーブは人々と共にあったということ。

[chat face=”otya1.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”] ハーブはとっても歴史が深いですね。 [/chat]
[chat face=”chap1.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]人類よりもはるか太古の昔から、ハーブは地球上で歴史を刻んできたのでしょう。 [/chat]

医学の祖と呼ばれる古代ギリシアのヒポクラテスは著書の中で、ハーブを煮出して飲むという元祖ハーブティーとも取れる使用法を紹介。
これが紀元前400年ごろのことです。

インドの伝統医学アーユルヴェーダも歴史が古く、紀元前1000年頃に『リグ・ヴェーダ』という書物が作られました。
ここにも沢山の薬用植物が収載されています。

ローマ帝国時代のヨーロッパで普及

時は過ぎ、ローマ帝国が地中海沿岸を中心に拡大を遂げます。
それと同時に各地に息づいていたハーブの知恵も点から線となり、広まっていきました。

ローマ帝国時代にまとめられたハーブ関連の書物には『薬物誌』があります。
これは医者であり植物学者でもあったディオスコリデスが1世紀頃に書き記した書物で、その後のハーブ療法の礎となるものでした。

一方で、ハーブ療法が急速に広まったかというと、そうではありません。
キリスト教の影響により薬学は異端とされ、ハーブ療法の研究は一部の修道院でのみ行われたためです。

このように、中世におけるハーブ療法は修道院を中心にして、閉鎖的ながらも発達していくこととなります。
具体的な使用法としては現在のようにお湯で淹れるのではなく、煮出して煎じ薬にしたり、リキュールに漬け込んだりすることが多かったようです。

そして、大航海時代へ

15世紀になると、大航海時代がやってきます。
それはポルトガルやスペインを皮切りに、ヨーロッパ各国が航海の技術力と経験を活かして未開の地に乗り出していった時代。

そこで世界中の地形が徐々に明らかになってくるとともに、これまでヨーロッパにはなかった異国のスパイスや紅茶などがヨーロッパに持ち込まれます。

その紅茶が美味しいということで、ヨーロッパで大流行。
それに伴い、薬用として用いられていたハーブも紅茶の代用品として、つまりお茶としての顔を持つようになりました。

さらに特筆すべきは、ハーブ療法の専門家たちの活躍。

ニコラス・カルペパーは17世紀のイギリスにおけるハーバリスト&占星術師。
彼は自ら薬局を開いて、診察に訪れる人々に薬用ハーブを処方。
そして実用的で分かりやすい著書を出版して、ハーブ療法の正しい知識を一般の人々に広めたのです。

化学薬品が発明され、近代医学の時代へ

19世紀になってついに登場したのが、今でいうお薬、つまり化学薬品。
それは植物から有効成分を見出し、そこから化学合成により人工的に作られる医薬品のことです。

この医薬品は劇的な効果により医療の現場に革新をもたらし、同時にハーブは医療の第一線から退くこととなります。
これは植物療法から近代医学へと大きくシフトチェンジする瞬間でした。

自然志向の高まりでハーブが見直される

その後、ハーブの力が改めて見直されるムーブメントが沸き起こります。

[chat face=”otya2.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”]まさにハーブ・ルネッサンスですね! [/chat]
[chat face=”chap2.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]きっかけは1960年代アメリカでのヒッピーの活動だと言われていますよ。[/chat]

ヒッピーの活動では、人間がこれまで歩んできた『自然と調和するライフスタイル』の大切さを提唱。
キーワードは、エコ・オーガニック・自然療法など。
その中でハーブの力も改めてクローズアップされ、民間療法として息づいていたハーブティーの魅力も見直されたのです。

ちょうどこの頃、ヨーロッパでもハーブの力を再評価する動きが高まります。
ドイツはメディカルハーブ専門当局『コミッションE』を1978年に創設。
ここはハーブを医療に用いるための、効能や安全性を評価する機関です。

[chat face=”otya2.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”]いよいよ日本にもハーブという言葉がやってくる頃ですね。 [/chat]
[chat face=”chap2.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]そうなのです!その前に日本古来の薬草文化から見ていきましょう。[/chat]

日本におけるハーブの歴史


日本においてハーブという言葉が知られるようになったのは、日本の長い歴史においてごく最近のことです。
まずはそれ以前の薬草文化について見てみましょう。

日本におけるハーブの歴史ダイジェスト

  • もともと日本古来の薬草文化が根付く
  • 1969年:ポンパドールのハーブティーが日本上陸
  • 1983年:生活の木がハーブティー事業スタート
    同じ年、カリス成城が営業スタート

日本にも古くから独自の薬草文化がある

ハーブという言葉こそありませんでしたが、日本も古くから独自の薬草文化があります。
ハーブティーに代わるものとしては健康茶と呼ばれるものがそれです。

例えば、優れたデトックス作用を持つどくだみ茶。
ハトムギ茶はデトックスのほか美肌作用にも優れています。

そのほか一部の地域に伝わる健康茶もありますし、かつて多くの家庭の庭先にあった柿の木からは自家製柿の葉茶が作られました。

[chat face=”otya1.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”] おばあちゃんの知恵みたいな感じですね。 [/chat]
[chat face=”chap1.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]その人が住む土地に生育する植物が一番その人に合っている、という考え方もあるんですよ。 [/chat]
[chat face=”otya2.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”]身近に生えている植物からお茶を作るのも楽しそうです。 [/chat]

日本で西洋のハーブが普及したのはいつ?

前述のようにハーブの力を改めて見直す世界的ムーブメントが沸き起こっている頃、日本人も海外で美味しいハーブに出会い、日本でも食したいと思うようになります。
レストランでは海外から空輸されたフレッシュハーブを使うようになり、少しずつ国内での栽培も増えていきます。

一方、ドイツの大手お茶メーカーが手がけるハーブティーブランド『ポンパドール』が日本に上陸したのが1969年。
当初はハーブティーとは呼ばずにあえて『花を飲む』フラワーティーという呼び⽅で販売したのだとか。

[chat face=”otya4.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”] ハーブティーと言われても「何のこっちゃ?」だったのかもしれませんね。 [/chat]
[chat face=”chap1.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]日本にハーブがやってきた時は、植物療法というよりも美味しい食べ物、ちょっとオシャレな西洋のお茶という位置づけになっていたようです。 [/chat]

ハーブ専門店 生活の木は、まず先にハーブクラフトの1つである『ポプリ』を提案。
その後1983年にハーブティー事業をスタートさせました。

同じくハーブ専門店のカリス成城も1983年に営業をスタートしています。

今後はさらにメディカルハーブとして活用される時代へ


[chat face=”otya1.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”] ハーブティーは今後どうなっていくのでしょう。 [/chat]
[chat face=”chap1.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]今後は知識の普及とともに、メディカルな側面がもっと活かされていくのではないでしょうか。 [/chat]

ハーブティーはさまざまな色や風味を楽しめる嗜好品としての魅力もありますが、今後はその効能に即した専門的な使用がますます増えていくのではないでしょうか。
ここまで見てきた通り、そもそものハーブとは医療そのものだったからです。

実際に、これまでの伝統的な知識だけでなく科学的な裏付けを得ようと、メディカルハーブとしての有効成分の分析や機能性の研究が盛んに行われています。

前述の通りハーブティー大国のドイツではいち早くコミッションEを立ち上げ、メディカルハーブを体系化して医療に取り入れています。

日本においては、日本メディカルハーブ協会(の前身)が1999年設立。
メディカルハーブの正しい知識の普及を担うとともに、ハーバルプラクティショナーなどのハーブ資格制度を設け、ハーブの専門家を多数輩出しています。
このような専門家たちは医療だけでなく、介護の分野でも大いに活躍が期待されるのではないでしょうか。

[chat face=”otya2.png” name=”お茶子” align=”right” border=”green” bg=”none”]一般家庭でのハーブの利用も増えると良いですね! [/chat]
[chat face=”chap2.png” name=”茶ルパカ博士” align=”left” border=”green” bg=”green”]そうですね!ホームセンターではキッチンハーブの苗が販売され、手軽にハーブの自家栽培ができるようになっています。[/chat]

家庭でのヘルスケアにおいても、従来の日本スタイルの健康茶に西洋のハーブティーが加わり、正しい知識のもとで広まっていくことでしょう。

ハーブティーの歴史についてのまとめ


少し駆け足ではありましたが、ハーブティーの歴史についてお伝えしてきました。
人類の歴史が始まってからずっと18世紀位まで、ハーブは医療の主役として人々の健康を支えてきたことが分かりました。

現在、ハーブティーはさまざまな色や風味を楽しめるお茶として、誰でも簡単にお店で手にできるようになりました。
これからハーブティーは日本でもさらに普及し、私たちの健康管理に役立ってくれることでしょう。

※参考文献


特産種苗第21号 ハーブの普及・振興のために ―歴史と現状、必要な情報、全国ハーブサミットの役割―
Wikipedia―ハーブ
一般社団法人 ハーブティーブレンドマイスター協会―ハーブティーの歴史
日本緑茶センター―ポンパドール
生活の木―会社概要
カリス成城―カリス成城について

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