甘茶(あまちゃ)は、胃腸の働きの促進や、アンチエイジング効果が期待できるハーブです。
葉に甘みがある植物で、日本全国の山地に自生しています。
ヤマアジサイ(学名:Hydrangea macrophylla subsp. serrata)の仲間なんですよ。
アマチャヅルと名前がよく似ているため、混同されることが多いのですが、別種の植物です。
甘茶は甘みがあるのにノンカロリー、ノンカフェインで健康志向の方に人気のあるお茶。
糖尿病患者に砂糖の代わりに使える甘み料としても使われてきました。
別名「甘露(かんろ)」と言われます。
この記事では
- 甘茶の効果・効能について
- 甘茶の正しい淹れ方やオススメ入手法
についてご紹介します。
甘茶の効果・効能について
主な有効成分について、表にまとめてみました。
成分名 | 効果・効能 |
---|---|
フィロズルチン イソフィロズルチン |
甘味作用(ショ糖の400倍以上) |
タンニン | 収れん作用、下痢を止める作用、抗酸化作用 |
ケンフェロール クエルセチン (フラボノイド) ルチン (フラボノイド配糖体) |
鎮静作用、鎮痙作用、発汗作用、駆風作用、 利尿作用、緩下作用、血管保護作用、 抗アレルギー作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用、 ビタミンCの吸収と働きを高める作用 |
甘茶の効果・効能について、成分別に見ていきます。
フィロズルチン、イソフィロズルチン
甘茶の甘み成分です。甘茶の葉を乾燥させることで、初めて甘みが生じます。
甘さは、砂糖の主成分でもあるショ糖の400倍以上、チューインガムや歯磨き粉に用いられる人工甘味料の主成分サッカリンの2倍あります。
タンニン
甘茶の苦味成分で、植物に含まれているポリフェノールの一種です。
- 肌を引き締める(収れん)
- 組織の炎症を鎮めて治癒を促進する
- 下痢を止める
- アンチエイジング(抗酸化)
などの効果があります。
これらはタンニンにはたんぱく質を固める働きがあるためです。
タンニンは身近な食べ物にも含まれており、飲み物だと緑茶やワイン、食べ物だと渋柿やレンコンに含まれています。
ケンフェロール、クエルセチン、ルチン
植物に含まれているポリフェノールの一種です。
ケンフェロールとクエルセチンはフラボノイド、ルチンはフラボノイド配糖体と呼ばれます。
- 心を落ち着かせたり穏やかにする(リラックス)
- 筋肉の痙れんを抑える(生理痛など)
- 汗を出させる
- 胃や腸にたまったガスを排出して、腹部の張りや痛みを和らげる
- 尿の出をよくする
- 腸管の運動を活発にして排便を促す
- 血管を保護・修復する作用
- アレルギーを起こすヒスタミンの生成をブロックする(抗アレルギー)
- アンチエイジング(抗酸化)
- がん(抗腫瘍)
- ビタミンCの吸収と働きを高めるなどの効果があります。
甘茶と甜茶の違い
甘茶と同じ甘いお茶として「甜茶(てんちゃ)」というお茶もあります。
甜茶は中国茶の中でチャノキ以外の木の葉から作られたお茶の総称で、固有名詞ではありません。
花粉症などのアレルギーに効果があるのはバラ科の甜茶ですが、甘茶には同様の効果はありません。
甘茶とアマチャヅルの違い
甘茶と名前がよく似ているアマチャヅルはウリ科のつる性の植物です。
アマチャヅルにはサポニンという咳止めや痰きりの成分がありますが、甘茶には同様の効果はありません。
甘茶の副作用
甘茶は古くからお茶として親しまれ、薬用甘味剤としても日本薬局方に収載されています。
有毒成分の存在はこれまで報告されていません。
しかし、妊娠中や授乳中の女性が飲んでも安全であるという十分なデータがないため、避けたほうが無難です。
また、2009年と2010年の花祭りの際に、濃い甘茶を飲んで集団食中毒になった事例が2件ありました。
そのため甘茶は、薄く淹れることが大切です。
詳しくは、下記「甘茶を美味しく飲む方法と淹れ方」をご参照ください。
甘茶の味と香り
甘茶は薄く淹れるためほとんど香りはしませんが、独特の甘みを有したお茶です。
人によって個人差がありますが、
「ストレートティーに砂糖を加えたような味」
「麦茶に砂糖を加えたような味」
「薬のような味」
などと表現されます。
「強い甘み」を感じる味ですが、茶葉を乾燥させることで出る自然な甘みです。
甘茶を美味しく飲む方法と淹れ方
基本の淹れ方
ご家庭で甘茶を作る場合は、濃くなりすぎないよう十分注意しましょう。
具体的には、2~3gの甘茶を1ℓの水で煮出します。
紅茶のようにティーカップで作るよりも、やかんなどで煮出す方が良いでしょう。
■参照:厚生労働省より自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アマチャ
オススメブレンドティー
ここでは、甘茶をより美味しくする飲み方をいくつかご紹介します。
薄めに淹れた甘茶にこれらをプラスすることで、独特の甘みが抑えられ飲みやすくなります。
レモン汁 | レモン汁に含まれるビタミンCはコラーゲンの生成、鉄の吸収を高める、抗酸化作用、ストレスホルモンの生成、しみ・そばかすの予防、便秘改善の効果があります。 甘茶に含まれるフラボノイドと一緒に取ることでビタミンCの吸収が促され、働きを高めます。 甘い甘茶がレモネードのような味わいになります。 |
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レモングラス | レモングラスには消化を促進する、インフルエンザなどの感染症の予防、発熱や局所の炎症の緩和作用があります。 甘い甘茶が爽やかなレモン調ハーブティーになります。 |
ペパーミント+炭酸水 | ペパーミントには消化を促進する、身体を賦活させる、筋肉のけいれんを抑える、抗酸化作用があります。 甘い甘茶がメントールの香りですっきり爽やかな飲料水になります。 |
甘茶にあうお菓子、食事
甘茶は、毎年4月8日お釈迦様の生誕を祝う花祭りの際に、寺院で配布されて飲むことが多いです。
花祭りの際に食べる精進料理や春の旬食材であるタケノコやウドなどを調理した和食に合います。
また、甘みの系統の似た和菓子も合うと言えます。
甘茶のオススメの入手方法と買い方
甘茶はドラックストアなどには置いていないので、ネット通販で購入するのが一番簡単です。
甘茶は国産のお茶ですので、お茶屋さんのオンラインショップなどで手に入ります。
濃く煮出さないように、1.5g~3gのティーバックタイプが便利です。
まとめ
[box01 title=”甘茶(あまちゃ)の概要”]
- 甘茶はノンカロリー、ノンカフェインのお茶で、天然の甘味作用がある
- 胃や腸の働きを促進したり、アンチエイジング作用もある
- 甜茶と違い、日本に自生する植物のお茶
- アマチャヅルと違い、アジサイ科の植物のお茶
- 妊娠中・授乳中の飲用は避けたほうが無難
- 甘茶2~3gを1ℓの水で、薄く淹れることが大切
- 甘茶には独特の強い甘みがある
- ハーブ等とブレンドすることで甘みが抑えられて飲みやすくなる
- 甘茶は精進料理などの和食や春の旬食材、和菓子と合う
- 甘茶はネット通販での購入が一番簡単
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甘茶はノンカロリー、ノンカフェインのため、甘いものが食べたいけれどもダイエット中の人にぴったりの日本のハーブです。
レモン汁やハーブと一緒に飲むことで飲みやすくなるので、美味しくヘルシーなお茶として人気が出てきています。
名前の似たアマチャヅルと混同されがちですので、『甘茶』と漢字にしたほうがいいでしょう。
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